美景と茶を楽しむ旅/#01
頬がゆるみ 心やわらぐ あの場所へ
茶畑の上の大きな空を、風が通り抜けていく
そうだ、旅に出よう
窓の外を眺めていたら、ふと、旅に出たくなった。思いつきの旅なので、混雑する観光地より、
気軽に出向ける場所に行きたい。日常の近くにあって、いつもとちがう何かに出逢える場所に。
そうしてバッグ片手に訪れたのは、掛川市東山周辺にある茶草場。うねる山々を包み込むように広がる、 壮麗な茶園が美しい。外国人に言わせれば、これぞ「ジャパニーズ・クール!」となるのだろう。 何しろここは、地球上で40ヶ所に満たない、世界農業遺産の一つなのだから。
そうしてバッグ片手に訪れたのは、掛川市東山周辺にある茶草場。うねる山々を包み込むように広がる、 壮麗な茶園が美しい。外国人に言わせれば、これぞ「ジャパニーズ・クール!」となるのだろう。 何しろここは、地球上で40ヶ所に満たない、世界農業遺産の一つなのだから。
東山を訪れたらまず、地元民が運営する「東山いっぷく処」に寄るといい。
世界に認められた理由や見どころを、愛嬌のある店員が丁寧に教えてくれる。
店内には、土産物にちょうどいい、名産の茶や新鮮な野菜、手作り品が並ぶ。
ところで、この地に小高くそびえる粟ヶ岳には、京都の大文字送り火を連想させる、
一辺130メートルの巨大な「茶」の一文字が木で描かれている。聞くと、
百年ほど前地元の茶農家たちによって作られた、お茶とともに生きる決意表明だとか。
その単純な理由で、この大掛かりな作業をやってのけるのだから、
純真で、なんだかチャーミングだ。きっと何事にも真っ直ぐだったのだろう。
そんな人たちの作ったお茶は、おいしかったに違いない。
そして一世紀が過ぎ、今も変わらず東山の人々はお茶を作り続けている。
昔からの農法で、誠実に。ひたむきに。受け継がれてきた「おいしいお茶を作ろう」
という思いは実り、日本一に値する農林水産大臣賞を何度も受賞した。
一連の話を聞きながら、いっぷく処でふるまわれたお茶をいただき、
土産を買った。車でも登れる粟ヶ岳山頂からの眺めは絶景らしい。
ささやかな旅に、すてきな思い出が一つ増えそうだ。
東山周辺には、粟ヶ岳以外にも絶景を眺める「ビューポイント」が3か所点在している。
場所は「東山いっぷく処」で確認することができ、東山地区の貴重な草地性植物を間近に体感できる。
車でも登れる粟ヶ岳の山頂からは、茶園と自然が織りなす美景を眺望できる。山頂には神が降り立ったと云われる
巨石群「磐座」と、県の天然記念物である、大木が生い茂る神秘的な原生林の森が広がっている。
その美味しさを、未来へ
芳醇な香りと、心地よい余韻を残す深い味わい。世界農業遺産に認定された「静岡の茶草場農法」で
つくられたお茶は、日本一に値する農林水産大臣賞をはじめ、さまざまな賞を受賞している銘茶揃いだ。
この素晴らしいお茶を買って味わうことは、貴重な農法を未来へ残すことにもつながる。
通常よりひと手間かかる茶草場農法。香り高いお茶をたくさん味わって、日本の誇りを後世に残そう。
世界農業遺産「静岡の茶草場農法」
東山周辺に根付く世界農業遺産「静岡の茶草場農法」。その魅力が詳しく紹介されているパンフレットが
「東山いっぷく処」はじめ各所で配布されている。ぜひ手に取って、環境と人々の暮らしが調和する農法を、
茶畑を見ながら体感してみたい。